DSNデザイン Report

外された道路標識は、どこへ行くのか

道路の工事で撤去された標識は、多くが金属くずとして処分される。埼玉県の倉庫には、そのうち800枚ほどを引き取って保管している看板店がある。

コンクリートの倉庫の壁際に、青や黄色の撤去済みの道路標識が何列も立てかけてある
倉庫の壁際に立てかけられた、撤去済みの標識。裏にはチョークで、外した場所と年が書いてある。撮影:編集部

倉庫は国道沿いの資材置き場の奥にある。シャッターを開けると、青や黄色の板が壁に沿って何列も立てかけてあった。案内標識、警戒標識、規制標識。種類ごとにおおまかに分けてあるが、厳密ではない。

管理しているのは、地元で40年続く看板店の二代目、柴田一郎さん。標識の製作も請け負っていて、撤去の工事に立ち会うことも多い。

処分されるはずだったもの

撤去された標識の多くは、支柱から外されたあと、アルミや鉄として業者に引き取られる。柴田さんは10年ほど前から、そのうちのいくつかを譲ってもらうようになった。

「もったいない、というよりは、資料として残しておきたかったんです。標識の文字は、時代によって少しずつ違うので」

標識の文字の形や大きさは、国の基準で決められている。ただ、実際に製作するのは各地の業者なので、基準が改められる前と後では、文字の太さや字間に差が出る。柴田さんは標識の裏に、撤去した場所と年をチョークで書き、年代順に並べられるようにしている。

字間が、年代によって違う

倉庫の奥で、同じ「止まれ」の標識を3枚並べてもらった。1980年代のものは字と字のあいだが詰まっていて、2000年代のものは広い。手で描いた原図から切り文字をつくっていた時代と、データから出力するようになった時代の違いだという。

遠くから読めるかどうか、それだけを考えてつくっている。それでも、つくる人によって、読みやすい字間の感覚はけっこう違うんです。

柴田一郎

貸し出しはしていない

最近は、映画やドラマの撮影で借りたいという問い合わせも来る。ただ、本物の標識を道路以外の場所に立てると、見た人が誤解するおそれがある。柴田さんは今のところ、貸し出しも販売もしていない。見学は事前に連絡すれば受け付けていて、デザインを学ぶ学生が来ることが多い。

  • 所在地埼玉県(住所は非公開)
  • 保管数約800枚
  • 見学要事前連絡、無料

この記事はJUNKBRANDINGのデモ用に作成したものです。登場する人物・団体・施設・発言は、すべて架空です。

編集部・デザイン担当

戸川まどか

1990年生まれ。デザイン事務所で書籍の組版を担当したのち、2021年に編集部へ。書体、印刷、看板の記事を主に書いている。