PHO写真 Interview

午前4時半の港を、8年撮っている──写真家・久保田潤

宮城県の小さな漁港で、水揚げが始まる前の時間だけを撮り続けている久保田潤さん。撮影は週に2回、30分だけ。この秋、8年分から選んだ64枚が写真集になった。

夜明け前の漁港。街灯の下を長靴の男性二人が歩き、岸壁には漁船と発泡スチロールの箱が並ぶ
水揚げ前の港。船が戻ってくる前に、市場の人たちが箱を並べ始める。撮影:久保田潤

なぜ午前4時半なんですか。

漁から戻った船が港に入ってくるのが5時くらいで、その前の30分は、市場の人たちが準備を始める時間なんです。箱を並べたり、ホースで地面を流したり。船が着くと急に忙しくなって、カメラを向けられる雰囲気ではなくなるので、撮れるのはその前だけです。

撮影に行く日は、どうやって決めていますか。

週に2回、火曜と金曜です。天気に関係なく行きます。最初の2年くらいは晴れた日だけ行っていたんですが、それだと同じような写真しか撮れなかった。雨の日のほうが地面が光って面白いと気づいたのは、だいぶあとになってからです。

知り合いになりすぎない

8年も通っていると、港の人とも顔なじみになりますよね。

なります。ただ、話しかけられすぎると撮れなくなるので、距離は気にしています。撮るのは30分と決めていて、終わったら市場の食堂で朝ご飯を食べて帰る。話をするのは、食堂の中だけにしています。

カメラを持っているあいだは、港の人ではない。食堂に入ったら、港の人の知り合いになる。

久保田潤

写真集から、顔を外した

8年で、何枚くらい撮ったんですか。

フィルムなので数えられます。1回に36枚撮りを1本、年に90回くらい通うので、8年でだいたい2万5000枚です。そこから600枚を選んで、編集者と一緒に64枚まで減らしました。

選ぶときの基準は何でしたか。

顔が分かる写真は、ほとんど外しました。8年のあいだに市場をやめた人も、亡くなった人もいます。顔が写っていると、その人の写真になってしまう。後ろ姿や、手元だけの写真を残しました。港の写真集にしたかったので。

  • 書名久保田潤『四時半』
  • 発行港町書房
  • 仕様B5変型、96ページ、写真64点
  • 価格4,400円(税込)

この記事はJUNKBRANDINGのデモ用に作成したものです。登場する人物・団体・施設・発言は、すべて架空です。

編集長

森下千里

1971年生まれ。美術出版社で月刊誌の編集を18年担当したのち、2019年にJUNKBRANDINGを創刊。美術と写真の記事を担当。休みの日はたいてい古本市にいる。