FLM映画 Interview

1巻で撮れるのは2分47秒──16ミリで短編を撮る秋山大輔

デジタルで撮るほうが安くて早い。それでも映像作家の秋山大輔さんは、16ミリフィルムで短編を撮り続けている。100フィートのフィルム1巻で撮れるのは、2分47秒だけだ。

三脚に載った16ミリカメラと、机の上のフィルムリール。窓の外は夕方で、スタンドの明かりがついている
秋山さんの部屋。現像から戻ってきたフィルムは、窓際の机で手で巻き戻しながら確認する。撮影:編集部

16ミリで撮ると、費用がかなりかかりますよね。

フィルムが1巻1万円前後で、現像とスキャンにも同じくらいかかります。2分47秒で2万円。10分の短編だと、撮り直しも含めて30巻くらい使うので、60万円になります。デジタルなら、カメラを借りても数万円で済みます。

それでもフィルムを選ぶ理由は何ですか。

撮る回数が減るからです。デジタルだと、とりあえず回しておいて、あとから選ぶ。フィルムではそれができないので、撮る前に何を撮るかを決めておかないといけない。役者さんとの段取りも、カメラを回す前にほとんど終わっています。

撮影は1日4巻まで

1日にどのくらい撮りますか。

多くて4巻です。フィルムの交換は、黒い袋の中に手を入れて手探りでやるので、10分くらいかかる。そのあいだ、役者さんには待ってもらいます。最初は申し訳なかったんですが、その10分で次のシーンの話をするようになって、今はなくてはならない時間になりました。

交換しているあいだは、誰もモニターを見ていない。それがいいんだと思います。

秋山大輔

現像から戻るまで、何が撮れたか分からない

その場で確認できないのは、不安じゃないですか。

不安です。現像所から戻ってくるまで1週間かかるので、そのあいだは毎日気になっています。一度、カメラの中でフィルムが噛んで、2巻分が真っ白だったことがあります。そのシーンは撮り直しました。

新作について教えてください。

祖母の家を取り壊す前の1週間を撮った、12分の短編です。来年の2月に、都内の小さな映画館で1週間だけ上映します。フィルムのまま映写するのは初日だけで、ほかの日はデジタルに変換したもので上映します。その劇場で映写機を扱える人が、もう1人しかいないので。

  • 作品秋山大輔『解体の前の週』(12分、16ミリ)
  • 上映2027年2月、東京都内で1週間

この記事はJUNKBRANDINGのデモ用に作成したものです。登場する人物・団体・施設・発言は、すべて架空です。

ライター・映画と写真

樋口文

1988年生まれ。名画座の映写室でアルバイトをしていた。劇場で見る映画は年に200本ほど。フィルムカメラを3台持っていて、2台は修理中。