CULカルチャー Column

古本市の値札を書く人

神社の境内で年に2回開かれる古本市には、40の古書店が出店し、約5万冊の本が並ぶ。そのほとんどに、店主が手で書いた値札が挟まっている。

古本市の木箱に並ぶ文庫本に、年配の男性が鉛筆で値札を書いて挟んでいる
開場前、文庫本に値札を挟んでいく。値段の横には、書名と店の符丁が小さく書かれている。撮影:編集部

古本市で本を手に取ると、最初に見るのは値札だ。表紙をめくると細長い紙が挟んであって、鉛筆で値段が書いてある。300円、500円、1200円。その下に小さく書名、さらにその横に、読めない記号がひとつ。

記号は店の符丁で、仕入れた値段や時期を表しているらしい。読み方は店ごとに違い、聞いても教えてはもらえない。

一冊ずつ、手で書く

春と秋に開かれるこの市で、出店している古書店主のひとりに話を聞いた。準備には2週間かかり、そのうち1週間は値札を書く作業に使うという。一店が出す本は1000〜2000冊。印刷したラベルを使う店も増えたが、半分くらいの店はまだ手書きだ。

「ラベルのほうが速いけど、書いているあいだに本の状態を見られるんです。線が引いてないか、ページが抜けていないか。値札を書くのは、検品も兼ねている」

値札の字で、店が分かる

この市に通っている人は、値札の字で店を見分けている。万年筆で書く店、赤鉛筆で書く店、値段だけを大きく書く店。同じ本でも店によって値段が違うので、会場を一周してから買う人も多い。

値札の字がきれいな店は、だいたい本の扱いも丁寧。

古本市の常連客

値札は抜かない

私は、買った本の値札を抜かないことにしている。何年かたってから開くと、どの市で、いくらで買ったのかが分かるからだ。書名が書いてあるので、しおりとしても使える。

先日、10年前に買った文庫本から値札が出てきた。200円。その店は、もう古本市には出ていない。

この記事はJUNKBRANDINGのデモ用に作成したものです。登場する人物・団体・施設・発言は、すべて架空です。

編集部・デザイン担当

戸川まどか

1990年生まれ。デザイン事務所で書籍の組版を担当したのち、2021年に編集部へ。書体、印刷、看板の記事を主に書いている。