行送りの再設計 — 画面の日本語を組み直す

ゲラの赤字は何を直していたか

出版社で長く校正を担当してきた架空の校正者、小野寺さんに、初校ゲラに入る赤字の内訳を数えてもらった。誤字脱字を除くと、最も多いのは約物まわりの空き、次いで行末の処理、そして漢字とかなの表記揺れだった。

このうち約物の空きは、CSSのtext-spacing-trimで自動的に詰められるようになった。小野寺さんは「赤字の3割くらいは、組版ソフトが最初からやってくれていた仕事」と話す。画面の組版は、その3割をようやく取り戻しつつある段階にある。

行送りは行長と一緒に決める

紙の書籍では、判型と版面が決まった時点で行長と行送りが一度に決まる。画面では、同じ記事が幅320pxの端末にも、幅1,440pxのモニターにも表示される。行長が変わるのに行送りが固定のままでは、どこかで読みにくくなる。

本誌の読書調査では、行長35字・行送り1.7の組み合わせで読む速さと内容の理解度のバランスが最もよかった。記事ページでは、この結果をもとに本文の最大幅を35字分に制限し、画面が狭いときは行送りを少し詰めている。

禁則はブラウザに任せられるか

行頭に句読点が来ない、行末に始め括弧が来ないといった禁則処理は、現在の主要ブラウザで標準的に行われる。line-break: strictを指定すれば、小さい「っ」や長音記号の行頭も避けられる。

残る課題は、見出しのように短い文での改行位置だ。単語の途中で改行されると意味が取りにくくなる。word-break: auto-phraseは文節の切れ目で改行する指定で、一部のブラウザで使える。本誌では見出しにこの指定を入れ、未対応のブラウザでは通常の改行のまま表示している。紙のように一行ずつ確認することはできないので、仕組みで崩れにくくするのが画面の組版の考え方だ。