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エッセイ

階段室から読む集合住宅の図面

汐見町の集合住宅の立面図は、2つの階段室が14スパンの立面を4:6:4に分けている。同じ年の建築季刊誌の特集と…

文 岸本 早苗 (図面資料の調査)

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立面図の拡大。階段室の斜めの線と、赤い雲形の囲みが見える。
部分:第2階段室と朱書き「△2 手摺子ピッチ変更」。

汐見町の集合住宅 第2期の南側立面図(JB-A-0003)を見ると、まず2つの階段室が目に入る。均等に並ぶ住戸の列を、階段室が4:6:4の位置で区切っている。この比率がどこから来たのかを、図面と雑誌の誌面から考えた。

原図に残った朱書き

この立面図はトレーシングペーパーの原図で、変更のたびに同じ紙に書き足されている。第2回変更の朱書き「△2 手摺子ピッチ変更」は第2階段室のすぐ上にあり、雲形の囲みで示されている。

変更の内容は手摺子の間隔だけで、階段室の位置や住戸の配置には変更の跡がない。少なくとも図面を描いた段階で、階段室の位置は確定していたことになる。

4:6:4に分ける階段室

14スパンを均等に分けるなら、階段室は7スパンごとに1つ、あるいは両端に置くのが素直だろう。しかし実際には、両端から4スパンずつ内側に階段室がある。

1つの階段室から左右に住戸が並ぶ形式(階段室型)では、1つの階段室が受け持つ住戸の数で、各階の踊り場から玄関までの距離が決まる。4:6:4の配置だと、端の4スパンは片側だけ、中央の6スパンは2つの階段室で3スパンずつ受け持つことになり、どの住戸も階段室から3スパン以内に収まる。

  • 端部:階段室から片側に4スパン
  • 中央部:2つの階段室から3スパンずつ
  • どの住戸も、階段室からの距離は3スパン以内

雑誌の誌面との照合

同じ1961年から1963年にかけて、東浜建築文化協会の季刊誌は公営住宅の階段室を特集している(JB-D-0401)。第14号の見開きには、階段室の数を減らして建設費を抑えるべきか、住戸からの距離を優先するべきかという議論が載っている。

記事は特定の建物を名指ししていないが、写真のページに汐見町の第1期が写っている。第2期の階段室の配置は、この議論の中で「距離を優先する」側の答えの一つだったと読むことができる。

第3期で変わったこと

第3期の図面は当資料室には収蔵されておらず、市の公文書館にある配置図だけが確認できている。配置図で見る限り、第3期は住戸数を増やす一方で階段室を2つのまま残しており、端部の住戸は階段室から5スパン離れている。

第2期の4:6:4という比率は、設計者が最も条件のよい答えを出せた、短い期間の記録なのかもしれない。第3期の立面図が見つかれば、この推測を確かめることができる。

この記事で扱う収蔵品